季節違いだった。〜ZARD「きっと忘れない」


ZARD坂井泉水さんが亡くなってからもう4年も経つんですね、早い。
当時は本当にショックでした。
私のような、オリアル数枚とベストしか持ってないような軽いリスナーでもショックでした。
CD聴き直して泣いたりしました。
ZARDと言えば、90年代を代表するアーティストだったわけで、ああ一時代が終わったんだな、と思いました。


ベタですが今回取り上げるのは「きっと忘れない」。93年11月リリース、10枚目のシングル。オリコン最高位1位、売上87.2万枚。
私が初めて聴いたのは、99年5月リリースのアルバム「ZARD BEST The Single Collection 〜軌跡〜」でした。
初めてのベストアルバムで、オリコン最高位1位、売上303.4万枚。トリプルミリオン。

BEST The Single Collection~軌跡~

BEST The Single Collection~軌跡~

……売れすぎじゃね?


99年ってことは私は中学生だったのかな?
特典がすごくて、ZARDの関係者などからのコメントが寄せてあるアーティストブックがついていました。(これは初回特典だったらしい)
ウィキからの転載ですが、亀山千広(フジテレビプロデューサー)、岩井俊二(映画監督)、長嶋茂雄読売ジャイアンツ監督)、春畑道哉(TUBE)、大黒摩季などからのコメントがあり、写真もたくさんで、かなり読み込んだ記憶があります。


「きっと」とは。
意味:話し手の決意や確信、また強い要望などを表す。確かに。必ず。
きっと、ということで、「忘れずにいられるだろう、忘れたくない」という自己暗示っぽい意味あいが強いように思えます。

「きっと忘れない」は失恋の歌です。
てゆうか多分失恋してからちょっと経ってるはずなんだけど。
恋愛のキラキラした想い出と、離れてしまってもあなたは変わらないって信じてる、切ない乙女心。
実際友達がこんなこと言ってたら「さっさと忘れなって」と説教してしまいそうなんだけど、美しい記憶をそのままにしておきたい気持ちは分かる。


アカペラから始まり、サビに向かってどんどん盛り上がっていくのが、逆に切ない。
「暮れゆく都会(まち) あふれる人波」から盛り上がって「今にも笑顔であなたが現れそうで」でMAX、そしてサビ「きっと忘れない」!!
あああああ!!そうなの、嫌いになったわけじゃないけど、あの約束はどこへ?
でもこの悲しみも空に飛ばしてしまうしかないんだ。
恋は終わったんだ。
……でもあきらめない。離れてしまっても。
引きずりまくってるんだよね。ぶっちゃけウジウジしてんだよね。


しかしそれを感じさせないんだよねー。
曲調は明るくて爽快。
耳馴染みのいいメロディ。
やたらぎゅいんぎゅいんいってるギター。
坂井泉水の素直で透明な歌声。


まさしく90年代J-POPの王道!!!
ZARDだと「負けないで」揺れる想い」あたりが超有名でメジャーな曲だと思うんだけど、女子的切なソングもたくさんあるんだよね。
てゆうか女子的切なソングだらけなんだよね。実は。
「きっと忘れない」はメロディ的には「揺れる想い」に近いかな。
作曲織田哲郎だし。
「Oh my love」同様、一言一句無駄な歌詞がない。ちりばめられた言葉全てに意味がある。
意味不明な比喩もなく、聴いたままに感じることができる。
すごくわかりやすくて、健全なJ-POPならではだなあと思います。



好きなフレーズ。

星くずの中 間に合うように
渋滞抜けて 送ってくれたね いつも

上記の「暮れゆく都会〜」からと同じメロディのところです。
幸せだったころのエピソードとして出てくるんですが、こーゆーのがうまいよね泉水さん。
夜、あの頃は送ってくれたのに、今はここにいない、「暮れゆく都会〜」と対になっているエピでもある。
しかし「渋滞抜けて」って、今までは手を引っ張ってくれたのかなーと想像してたんだけど、もしかしてバイクかな。
そして何に間に合うように??終電??門限???
とか無駄なことを考えてしまったなう!!
「いつも」っていいよね。
それがあたりまえだったんだよね。
あたりまえだったのにね。
ああ!!



盛り上がりすぎた。ぜえはあ。



最後にサビを。

きっと忘れない また冬が来ても
想い出 抱きしめていたいから
空の彼方へと 悲しみ吹き飛ばせ
信じたい 信じてる
あなたが変わらぬように


坂井泉水さんが亡くなった時、いろんな場所でこの曲がピックアップされていました。
「きっと忘れない 眩しいまなざしを」
ZARD自身であった坂井さんを、私たちは忘れないよ、という、意思表示であるとともに自己暗示がかった感情がそこにはあったのだ思います。

王道過ぎて流されてしまう曲なのかなとも思う。
けど、すごく素直に入ってくる一曲です。


あ、でもこれは秋冬の歌なのか。な。あれ。